
🌸さくら通信 創刊号
―― 書の時間を、もっと身近に ――
こんにちは。さくら書道教室です☺️
このたび、教室での日々の様子や、書に込めた想いをお届けする
「さくら通信」 をはじめることになりました。
普段のLINEでは事務連絡が中心ですが、この通信では、
- 子どもたちの成長のひとこま
- 書の世界のちょっとしたお話
- 講師が日々感じていること
などを、ゆったりと綴っていきたいと思います。
お忙しい毎日の中で、
ふっと心がととのう小さなひと息になればうれしいです。
どうぞ、あたたかい気持ちでお付き合いくださいね🍀
✏️今月のテーマ
「講師が書道と出会った日」
創刊号となる今回は、
さくら書道教室の森中先生が
どのように書道と出会い、どんな幼少期を過ごしてきたのか
その原点について、お話ししていただきました。
📖 第1章 小学校時代と書道との出会い
―― 書道を始められたきっかけを教えてください。
「私が書道を始めたのは、小学二年生のときでした。」
森中先生が書道に出会ったのは、近所の神社の神主さんが放課後に学校で習字を教えていたことがきっかけでした。とはいえ、それは本人の希望ではなく、当時小学校5年生だった兄と一緒に“通わされる”かたちだったそうです。
―― 自分から「やりたい」と言ったのではなかったんですね。
「行きたいって言ったわけではないのよ。母に行けと言われて、5歳年上の兄について行ってただけ。」
―― お習字教室での時間は楽しかったですか?
全然。小さい頃私はとにかく外遊びが好きな子で、じっと座っているのが大嫌い、外で缶蹴りとか、かくれんぼや竹馬なんかをする方が専門でした。
優等生だった兄はしっかり練習していたけれど、学校でも何かと問題児だった私はお習字が嫌で嫌で仕方がなくて。気乗りせず書くから、下手くそで。
ある日、本当に嫌になったのね。お習字教室に行く途中、橋の上から川を覗き込んで、そうだ!書道バッグがなくなったら書道に行かないですむ。と思い、名案だとばかりに、母の買ってくれた書道バッグをぽーんと川に投げ捨てたの。
―― それは衝撃的ですね!
「うん(笑)。書道バッグ捨てたらすっきりして、家に帰って母に「もう、習字には行かんけん。バッグ捨てたけん」って言ったのよ。
―― お母さんにしかられましたか?
うーん、なんて言われたのかよく覚えていないわ。でも次の週には、その投げ捨てたはずの書道バッグが机の上にちゃんと置かれていて。きっと母が川に探しに行って拾ってきたのね。そして、母が耳元で囁いたんです。「字のきれいかと頭がよかと思われるよ」また仕方なく習字教室に行ったの。
―― 先生のお母さんの「子どもに字を習わせたい」という強い意志が感じられますね。
ええ、本当にそうですね。家は貧しかったけれど、母はとても教育熱心でした。母自身は小学校3年生までしか通えなくて悔しい思いをしたみたいです。母の家は和菓子屋さんで、「商売人には学問はいらんし、女の子は勉強せんでもいいからとにかく店番をしろ」と言われて、もっと勉強したかったという思いが後々まで残ったと思います。
―― その教育熱心なお母様のおかげでなんとか習字は続けたのですか。
「うん、四年生くらいまでは行ったと思う。でも、全然上達しなかった。習字が上手だった兄に、半紙がもったいないからお前は新聞紙で練習しろって言われたくらい。」
小学校4年生まで住んでいた熊本から八代市に引っ越したのをきっかけに書道から一度離れた森中先生。しかし、その体験は後の人生に大きな影響を与えることになります。
「書道は“好きで始めたもの”ではなかった。それでも、今思えばそれが人生の中心になっていく第一歩だったんだと思う。その第一歩は、母が作ってくれたの。」
🌸おわりに
初回は、森中先生の「書との出会い」をお届けしました。
先生の人生の中にある“原点”を知ることで、
今のお稽古で伝えている言葉や姿勢にも、少し温度が感じられたのではないでしょうか。
📘次回予告
「第2章:中学校時代、書道とスポーツの両立」
森中先生が書へ戻っていくきっかけ、そして心の変化をお届けします。
どうぞお楽しみに🌸